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徹底解説 All The Things You Are【9/100曲メモリー】

ぴゅら子のミュージックちゃんねるはじまるよ〜

今回はジャズスタンダードの中でも特に美しい名曲『オール・ザ・シングス・ユー・アー』を紹介します。

今回はこの曲の名演奏3つをピックアップして魅力と聴きどころを紹介します。さらに後半ではコード進行アナライズ、演奏する時のポイントも解説するので、プレイヤーの方もぜひ最後までチェックしてください!


  1. 今日の題材

  2. 名演奏の紹介

  3. アナライズ


今日の題材

 1939年にジェローム・カーンが作曲したこの曲『All The Things You Are』は、ジャズミュージシャンに愛され続け、今でもセッションやライブでよく演奏されます!


ちなみにマイケルジャクソンのカバーを聞いたことはありますか?

こういうアレンジもあるんだなぁと、楽曲の可能性を感じますね


名演奏の紹介



トミーフラナガントリオの演奏です。

トミフラはエラのお気に入りのピアニストなんですけど、後半にエラと一緒に演奏している「Things Ain't What They Used To Be」を引用しているのが憎いですね。

ストレートなものとして紹介します!



ブラッド・メルドー・トリオのライブCDです

クラシック音楽とジャズの融合が完成したんじゃね?はじめて聞いた時の衝撃すごかったです。曲に入る時のハーモニーとかカッコ良すぎる。

4+3の7拍子リズムの遊び心大胆なリハモを取り入れながらも『オール・ザ・シングス・ユー・アー』魂を感じますね!!



ロリンズのピアノレストリオ

堂々たるインプロから始まるのかっこいいですね。

ベースとドラムがシンプルに支える中で、ロリンズのの歌心とアイデアが飛び出すピアノレストリオのお手本のような演奏ですね。



移動ドで覚えよう!




移動ド歌唱音源を用意しました!

何回も歌っていろんなキーに転調して演奏しましょう!


アナライズ

「さて、ここからは『オール・ザ・シングス・ユー・アー』の楽曲そのものを深掘りしていきます。ミュージシャン目線で、コード進行や旋律の理論、演奏の注意点を解説します。楽器を手にして一緒に考えてみてくださいね。 


よく演奏されるイントロは、ラフマニノフの『プレリュード 嬰ハ短調 作品3-2』をモチーフにされていると言われます。

これは、セッションで楽器演奏能力があるかどうか篩にかけるために追加されたという話を聞いたことがあります。

ビバップの競技音楽を象徴するようなストーリーですね。


この曲のキーセンターは全体を通して5回(Ab, Eb, G, E,Ab)かわります。

コード進行を追うだけでも旅をしてるような気分になりますね。

しかし転調が多い分、コード感をしっかり把握しないと迷子になりやすいので注意が必要ですね。

 また36小節のAABC形式にも注意です。

頻繁な転調と豊富なチェンジ、小節数が8の倍数ではない点などプレイヤーにとって楽しい仕掛けが豊富で教科書のような楽曲です。


冒頭の8小節を見てみましょう。

| Fm7 | Bbm7 | Eb7 | AbMaj7 |

| DbMaj7 | G7 | CMaj7 | CMaj7 |


全体的に4度進行を繰り返しています。

Fm7から始まってAbMaj7に解決するまではAbメジャーのキーらしい流れ。5小節目はサブドミナント次のG7からCMaj7へと別の世界に飛びこみます。

このG7の前にはDm7が挿入されCへのツーファイブとなることも多いです。

この転調が、曲にドラマチックな起伏を生んでいて

次の展開、Cmへと進行する時に、同主調転調を呼びます。

このように、一言に転調するといってもいろんな種類の転調が含まれているのがわかりますね。


旋律はシンプルながら洗練されています。各コードの3度や7度をなぞるような音使いです。例えば最初ののフレーズは、Fm7の3度(Ab)と7度(Eb)を中心に動いて、コードトーンのガイドを示すようなメロです。


サビは

|Am7|D7 |GM7|GM7|

|F#m7-5|B7 |EM7|C7alt|

GとEのキーでツーファイブモーションです。


GにとってEは、平行調であるEmの同主調です。こういうキーを関係調と読んだりします。

Emへ進むと見せかけてメジャーへ着地しているわけです。


最後は

 | Fm7 | Bbm7 | Eb7 | AbMaj7 |

 | DbMaj7 | Dbm7 | Cm7 |Bdim7 |

| Bbm7 | Eb7 | AbMaj7 |Gm7-5 C7|


サブドミナントマイナーからの流れがAメロと微妙に異なります

Bdim7はF7の代理です。

Dbから(移動ドで)ファミメレとベースが半音下降クリシェになっています。



演奏上の注意点

転調が多いので、キーの変化を頭に入れておきましょう。

M7コードの、サブドミナントなのかトニックなのかを見極めることが要求されます。

幅広い転調の種類と借用が登場するのでそれぞれを理解する。



まとめ

ということで、『オール・ザ・シングス・ユー・アー』の名演奏と楽曲の分析を紹介しました。この曲にぜひ挑戦してみてください。次回も素敵なジャズスタンダードを紹介するのでみてね!


この記事は全文無料です。


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