ジャズの演奏をしていると「あれ?ここコード譜と違う?」という現象と出会うことがあります。即興演奏においてコード進行には柔軟性が持たされることが非常に多いです。
そうなんです。
コード譜の通りに演奏してない奴ら多すぎ!!!
想定しているコード進行から、コードを変更することをリハーモナイゼーションと呼びます。略してリハモ。そんなリハモの世界について、特に即興的に行われるリハモについて理解を深めていきましょう!
今回から数回に分けて、即興的なリハモの世界について楽しく紹介します!
あれ?そもそもコード譜ってなんだっけ?
演奏をするときにはコード譜や、メロディとコードが一緒になったリードシートを使うことがあります。これを私たちはあまり深く考えずにありがたぁく使わせていただいています。
しかし、譜面一つとっても勝手に出来上がるわけではなく、どこかの誰かが「原曲」を聞いて音を聞き取り、採譜してくれた賜物であるわけです。
そう音楽の神様が作ったわけではなく、元をたどれば人間が作り出したものに過ぎないんです。なので当然間違いもあれば、解釈も入り込みます。
それが作曲者ではない者によって作られた譜面の姿です。
「なんかコードが違うぞ!?」「音がまちがってるぞ!?」
そういうものなんです。
Real Bookとかみるとめちゃくちゃたくさんの曲が掲載されていますよね。
これってめっちゃくちゃありがたいことなんですよね。
近道なんです。本当に本当の第一歩って音楽を耳で覚えないといけないんだけど、目も使った方が早く情報を処理できる。先人達の偉大さエグい!
でも、間違えていることもある。そういう者なんです。
というのも、曲を演奏する際には「原曲」というものがある訳です。
しかし、その原曲が必ずしもジャズミュージシャンによってよく演奏される形式とは限りません。有名な曲には有名なバージョン、アレンジというものが複数存在しています。
なので、そもそもコード譜がいつも「正解のコード進行」とは限りません。
つまり、自分が弾きたいものとは微妙に違うバージョンの譜面だったということが割とよくあるんです。そういうものなんです。信じすぎちゃいけません。
これらのことから、コード譜面はある一定の正しさを担保するものではあるが、必ずしもその通りに演奏されるわけではないという代物言えるでしょう。
な、なんだって!!!
もう何も信用できない!!!
譜面が正しくないなんてこと許されてたまるかぁぁぁぁ
わかります。
でも実際にそんなことをしていても演奏できちゃっているんですね。
それはなぜかというと、耳がいいからなんですね。
完
いやいやいや!ここで終わりません!
ここまでの記事を読んだだけでもジャズ演奏ってハイコンテクストだってなんとなく想像できますよね。
明文化されていない決まり事が多すぎる!
なので、本当にここで思考停止して文字通り「完」ってなっちゃうことも全然あるんですよね。
じゃあ、なんでやばい状況をやらかしていても、演奏が成立するのか?
その域にたどり着くにはどうすればいいのかということをこのシリーズを通して書いていきます!
即興演奏のマナーと心構えと耳
みなさんは演技のインプロって知っていますか?実は演技にも即興というジャンルがあるんですね。私は、台本通りに行うようなイメージがあったので演技のワークショップを受けたときに驚いたことを覚えています。
音楽でも譜面至上主義で演奏されるものと、譜面を参考に自分の意見をアドリブで加えながら演奏するものと、完全即興など色々種類がありますよね。なんか、この辺りジャズにも共通する部分があるなぁと思って演技のレッスンを受けていました。そこで教えていただいたのは「Yes,And」という手法です。
相手から与えられた情報、特に新しい情報については否定をせずにYesで受けとめてAndで付け加えるというものです。
反対は「No,But」ですね。このNo Butという表現は物語を前に進めることができない接続なんですね。即興というフォーマットではYesで受け止めてAndで返すことがとても重要とされているんです。
これは、音楽でも同じだと思います。だから即興演奏が成立するんですね。
ジャズのセッションとかでは、だれも正解のコード進行を知らずに演奏が始まる状況はあり得ます。
もちろん譜面を共有していたら、その譜面の通りに演奏するのが一般的ではありますが、そもそも譜面を見ずに演奏する人もたくさんいます。
ではそういう雰囲気で演奏が始まったときにミュージシャンの頭の中で何が起きているのかというと、基本的なコード進行から、違うアイデアがひねり出されるかもしれないと思いながら演奏しています。
かもしれない運転をしているわけです。
「あれ?これビルエバンスのバージョンっぽいことしているな?」そういう知識があるとそれに合った反応ができたりします。
同じYes,Andを行なっていても、知識の差で見える景色が変わってしまいます。
でも知識って、一日で得られるものではなくて人生を通して何を聞いたかみたいな話になってくると思うんです。
とはいえ人生は短いです。なので、その曲を通ったときに聞き逃さないマインドセットと耳がまず必要なんですね。
普段音楽を聴くときにも「あ、ここコードが変わっている」こういう気づきがとても大切になるわけです。
ジャズは即興演奏をすることから瞬間的に「アレンジ」と言われるようなことが起こります。リズミックなアイデア、ハーモニーのアイデア、さまざまなアイデアが織り込まれそのときその場ならではの音楽が完成します。
音楽を一緒に作っていくときに、Yesと確信を持って頷き、自分のアイデアをAndと付け足すその、勇気と心構えを持ちましょう!
まとめ
今回はマインドセットのような内容を話しました。
次回はYesと確信を持って頷けるようになるためよく使用されるリハモのアイデアについてシェアします。
事前に知っていることで「これ聞いたこたとある」と気がつく確率はぐんと上がります。
テスト勉強の過去問みたいなもんですね。「進●ゼミでやったやつ!」と同じ理論です。
お楽しみに!
今回は全文一般公開しています!