クロマチックアプローチを研究しよう
ターゲットノートに対するクロマチックアプローチは大きく2種類あります。
例えばFへ向かう時
・半音下のEから向かう上昇
・半音上のGbから向かう下降
この2つです。
ダブルクロマチックアプローチというものもあります。
同じようにFへ向かう時
・全音下のEbからEを経てFへ向かう上昇
・全音上のGからGbを経てFへ向かう下降
この2つです
クロマチックアプローチ、ダブルクロマチックアプローチいずれも
上昇するか下降するかという2種類があります。
この2つについてどのように異なり、どちらを選択するべきかという細やかな議論や検討がスキップされがちです。
しかしベーシストとしてはめちゃくちゃ使用頻度も高くクロマチックアプローチについてもっと研究した方がいいと思いましたので、今回は記事にまとめてみました。
ルートに対するクロマチックアプローチ
例えばこんなコード進行あがあったとします。
Dm7 G7 C6
このDm7からG7へ切り替わる時にA bの音を経過してから
Gへと下ると下降するクロマチックアプローチを作ることができます。
反対に半音低いF# からGへと上昇させることもできます。
ではこの2つどちらの方が強くGに引き寄せられるように感じますか?
今回はこういうことを考える回です。
DmにとってAbという音は-5。一方F#はM3でどちらもDm7のコードトーンに対して濁るような存在です。
どちらもGへ向かって進みそうな音に聞こえますが
このケースの場合だとAbの方がGへの引力が大きいと私は考えます。
なんでだと思いますか?
Dm7 G7の図
AbはGへ進行するしかないような状況※ですがF#はGだけでなくFへの逃げ道もあるように見えませんか?
※AbからG7にとってのAへの進行もあり得ますがルートへの引力の方が大きいです。
Dm7(Ab) からG7へ
Dm7(F#)からG7へ
この点において、Abの方がGへの引力が大きいと思います。
引力が大きい方のクロマチックアプローチをした方が、進行感は強くなり
比較的に小さい方のクロマチックアプローチを行うと緩やかに進行するように感じます。
進行先が7thを持つコードに対しては、ルートへ向かって下降するクロマチックアプローチの方が推進力があるように感じませんか?
クロマチックアプローチのエネルギー
これから話すクロマチックアプローチのエネルギーに関する話は誰かの受け売りではなく個人的な感覚に基づいている部分がありますのであらかじめご了承ください。
まずは、音を聞いてみてください
下降 C A7 Dm7 G7 Em7 A7 Dm7 G7 C
上昇 C A7 Dm7 G7 Em7 A7 Dm7 G7 C
半音上の音から下る時の勢いは大きいです
一方半音下の音から登ってアプローチする時は少し緩やかです。
という話をしましたがルートから経過音へ進行するときの推進力については、逆のことが起きていると思います。
4度進行するコードの場合、次のコードに対して上昇するクロマチックアプローチをする場合は、前のコードからみると長い3度の音へ進行することになります。
一方次のコードに対して下降する場合は前のコードから出発する時増4度のインターバルを進行することになります。
3度進行するよりも、増4度進行した方が遠い印象を受けませんか?
経過音からターゲットノートへの引力が大きいということは、前のルートから進行する時に引力からさからう強い流れが存在しているという感覚があります。
言い換えると、推進力を生むためには、不安定な音へ一度向かう必要があるということです。
特にベースラインを演奏する時などは、無意識に選択しているクロマチックアプローチですが今この場に必要なものは安定か、それとも次の音へ繋がるための不安定かを考えることは重要です。
派手な音でなくとも、クロマチックアプローチの傾向(上昇と下降の組み合わせ)、連続した上昇や下降には意図を感じることができると思います。
今回の記事ではクロマチックアプローチ単体のライン(特にベース色が濃い)について話しましたが、特にベースラインについて考えるなら本当は音楽全体に対して考慮するべき点も多分に含まれると思います。なので常に、この考え方が正しいわけではないと思いますが、どのようなアプローチを行うかの根拠を自分なりに持つこと、それが人に影響を与える可能性、こんなことを感じる人もいるということが、みなさんの音楽に対する視野を広げたら幸いです!
さて、ということでクロマチックアプローチのエネルギーと題して書いてみました。
不安定な音を選択するということは心理的にも、想像力という意味でもエネルギーが必要ですよね。
もし続きを書く機会があれば
クロマチックアプローチから創造されるコード進行や、メロディラインに対するカウンターフレーズとしてのクロマチックアプローチについてもまとめてみたいと思います。
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